紅茶の零しどころ

オタクが気まぐれで書いてる

アイカツ!シリーズの歌唱担当について思うこと

あらかじめ言っておきますが、本エントリーはアイカツ!というコンテンツにはまだ浅い僕が例の件について思ったことをそのまま書き留めるだけのものです。何かを説得しようとかそういう高尚な目的はありませんし、勉強不足なところもあるでしょうがご容赦ください。

 

 

先日、アイカツ!シリーズの最新作『アイカツフレンズ!』の最新情報が発表されました。その新情報の中でアイカツ!のオタクに波紋を呼んだのが、最新作ではこれまでのシリーズとは異なりキャラクターの歌唱をメインキャストが同じく担当するということでしょう。

これまでのアイカツ!シリーズでは、キャラクターの歌唱は声優ではなくSTAR☆ANISとAIKATSU☆STARS! (秋葉原DearStage所属のアイドルユニット)が担当してきました。

この「キャラクターの声と歌唱を別の人物が担当する」手法自体は、歌手としての活動設定があるキャラクターのいるアニメにはよく用いられますが、そもそもの作品のメインにそういったキャラクターを据えるアイドル作品には稀なもので、それがアイカツ!の特徴的な個性でもありました。

 

で、今回の件を受けてアイカツ!における歌唱担当の起用について改めて少し考えていたのでその話を少し。

 

 

正直な話を言うと、私がアイカツ!の視聴を進めていく中でキャラクターの声と歌唱の違いに戸惑うことは結構......いや、かなり多かったです。

 

何がと言うと、まず覚えることが多い。一人のキャラクターに対して二つの声を覚えなくてはいけない。キャラクターの声優の部分は本編を見進めていく内にすぐに馴染んでいくのですが、本編の中でキャラクターの歌唱担当の部分に触れられるのは基本的に毎話数分の内のライブパートとOP, EDのみ。しかもお話や楽曲によって歌唱するキャラクターは変わるので、その分キャラクター一人一人の歌唱担当に触れられる機会は必然的により少なくなります。

その上、別の人間が同じ人物を演じるが故にキャラクターの普段の声と歌声にはギャップが生まれ、ともすればキャラクターが内面に二つの異なる人格を抱えることとなり得る。アニメ作品において「声」とはキャラクターの魂とも揶揄されるものであり、様々なドラマが繰り広げられる本編においてキャラクターにリアルを感じるポイントはその彼ら彼女らの声の部分に大きくあります。

なので、それと分かれたキャラクターの歌唱担当の部分というのは受け手にとってどうしても馴染みにくい。そのキャラクターの歌唱には物語の中で生きたキャラクターの声が反映されないため、本編の物語とそれに関わる楽曲のリンクがより難しくなる。ここがシビアな問題だと感じています。

そこで歌唱担当の演者も、そのキャラクターに合わせた声色に寄せて歌うことでそのギャップを埋められるように工夫されているし、STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS! の歌唱自体はどれも魅力的で僕自身も大いに好きなんですけれど、それでも個人的に未だに音城セイラちゃんの普段の声と歌声のあまりの違い様とかはどう受け止めていいのかよくわかっていなかったりする面もあって。今でこそ経験値の末に馴染んでいるにしても、良し悪しに関係なくどうしてもギャップを意識してしまうことはあります。アニメにおいて二つの異なる声を一つの人格として馴染ませるのはやはり簡単とは言い難いでしょう。

あとは退所による歌唱担当の交代とか、なんやかんやあって現在の歌唱担当と音源の歌唱担当とが違ってたりということもあるので、実は未だに誰が誰なのか完璧には覚えていなかったり。単に歴が短いのはありますけど。本来のターゲット層である女の子たちには余計何が何だかになっちゃうのでは、とも思ったりしますね。

 

 

アイカツ!の用いる手法にはこういうリスクがある、というのは上に述べた通りなんですが「じゃあこの手法のメリットは?」ということを次に考えてみます。

 

現実でのライブイベントもコンテンツの醍醐味である本作では、キャラクターの歌唱担当という役割は非常に重いものとなります。アイカツ!プロジェクトが始まった初代アイカツ!はメインキャストの諸星すみれちゃんが当時13歳ということもあり、声優としての仕事と歌の仕事にライブへの出演もある中で学業との両立を目指すのはその年の子には負担が重すぎるでしょう。

そこでキャストに無理な負担を背負わせないため、IP的に声優と歌唱担当を分ける方針を取ったのではないでしょうか。おそらく、アイカツ!のコンセプトとしては、作品にリアリティを出すことで本来の視聴者層への親近感を与えるために主人公のキャストは主人公と同年代の女の子に演じてもらおうという方針がプロジェクトの根幹にあったため、それに沿う形に今のアイカツ!が形成されていった...というように個人的には解釈しています。

さらに、それぞれの担当を分けることで各々の演者が自身の担当分野に専念できるため、演技・歌・ダンスのそれぞれのパフォーマンスへの安定が生まれ、それが作品のクオリティーの維持・向上へと繋がります。現にSTAR☆ANISとAIKATSU☆STARS! は今日までシリーズの担当として歌唱とダンスの分野において作品世界を魅力的に彩るようなパフォーマンスを発信し続けてきました。今ではこの歌唱が作品を支える大きな魅力となっていると言えるでしょう。

そして、歌唱担当に役割を分担することで現実でのライブイベントのフットワークが劇的に軽くなること、それがコンテンツとして一番大きな利点だと思います。現実問題、声優のスケジュールは(特に売れている人ほど)なかなかシビアで、「このキャラクターの歌が聴きたいのにその子の声優がまずライブに来られない・来ない」というような経験は他のコンテンツのライブにも行かれる方ならばよくお分かりかと思います。歌唱担当をつけることでそういった問題と切り離してライブイベントを行えますので、そこはアイカツ!というコンテンツの大きな強みだったのではないでしょうか。

 

 色々書きましたが総括として個人的な意見は「『声優と歌唱担当を分ける』手法はアニメとしてはリスキーな反面、イベントも行うコンテンツ全体としてはメリットもある戦略」だったなあというところです。

 

 

「歌唱担当がいることがアイカツ!の個性であり魅力なんだ、その個性を取ってしまうなんて」という意見ももちろん分かりますが、それはここまで積み重ねてきた関係値があるからこその現在であると自分は感じています。もしかしたら最初で躓いて失敗していた可能性だってあったかもしれません。シリーズの中でライブなどもありきで長年積み上げてきたからこその信頼関係だと思っています。

今でこそSTAR☆ANISもAIKATSU☆STARS! も大いに好きですけど、アイカツ!を見始める前の自分は恐らく歌唱担当が存在することについて特に良い印象は持ってはいなかったと記憶しています。付き合いが長いほど思い入れも深まるでしょう。

 

というのも、本来は自分は断然「キャラクターの歌はその声優が歌う方がズレなく本編とリンクしてエモいに決まっている」と考えているからこその言い様なんですけれども。

しかし、STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS! があったからこそ今のアイカツ!があるのは紛れもない事実で、今いるファンはそれに惹かれてここまで付いて来たんだという軌跡は忘れないで胸に刻んでおきたいですね。

 

話はアイカツフレンズ!へと戻りますが、STAR☆ANISやAIKATSU☆STARS! がシリーズから卒業し、最新作でメインキャストが歌唱も同じく担当するスタイルへと変更することになった経緯は正直知りえないので何とも言えませんが、自分としては期待の気持ちで見守っていきたいと思っています。

シリーズに大きく貢献してくれたグループが卒業してしまうのはやはり寂しいですし、好きだったアイカツ!の楽曲群にもう会えなくなってしまうのかと思うと辛いものもあります。また、それによってシリーズの楽曲のイメージも大きく変わってくるかもしれません。

しかしながら、本エントリーで述べたように歌唱担当を取る手法も取らない手法もそれぞれにメリット・デメリットがあるもの。今回の転換によってアイカツ!がどのように変わっていくのかはネガティブにではなく、ポジティブに前向きに考えていきたい、それがひとまずの自分の考えるところです。

きっと歌唱担当の転換は、転換するに十分な材料のもとに十分な準備をしてきたからの挑戦であるんじゃないでしょうか。

いや、やっぱり経緯を知らない分には何ともなのでこれ以上はやめておこう。

 

 

とにかく、私はアイカツフレンズ!は楽しみにしています。以上。