紅茶の零しどころ

オタクが気まぐれで書いてる

「やがて君になる」スペシャルファンイベント 遠見東高校生徒総会 生徒会朗読劇 議事録

先日5月26日に開催されたアニメ「やがて君になる」のファンイベント。

無事に両公演参加して来ましたたのでその備忘録として朗読劇の内容を書き起こして、あと少しその感想なんかも。

イベントレポートにすると長くなりすぎるのでとりあえず朗読劇だけ。

 

生徒会朗読劇

あらすじ:生徒会劇の練習の為、夏休みに学校で合宿を行うこととなった生徒会の面々。初日の練習を終えた後、燈子の提案から「合宿らしい」という理由で夕飯はカレーを作ることに。食材の買い出しや調理を進めてゆく道中、それぞれの意外な一面が明らかに...?

 

 脚本は仲谷先生の新規書き下ろし。

物語は生徒会劇の合宿1日目の出来事であり、本編では詳しく描かれていなかった幕間的なストーリー。原作・アニメともに生徒会のみんなでカレーを作っているシーンはワンカットだけ描かれていましたが、「そこ掘り下げてくるか~」と意外のような納得のような。生徒会メンバーの日常の一幕を覗き見るコメディ...と見せかけてやが君らしい(精神的にエグい)シリアスシーンも。

昼公演と夜公演で分岐するシーンがいくつかありますが、物語のアウトラインに変わりはありませんでした。

 

ストーリー

ほとんどうろ覚えなのはご愛嬌で。

1.

生徒会劇合宿の一日目を終え、疲労感から空腹を覚える生徒会の面々。

燈子の計らいによって夕飯は自分たちで用意することになったが、メニューは何にするのかと問う声に「よくぞ聞いてくれました」と言わんばかりに燈子はカレーを提案する。

カレーと聞いて「やったー!」と大袈裟に喜ぶ堂島と侑に「カレーってそこまで嬉しいもの...?」と若干戸惑う沙弥香もあったが、槙も「合宿らしくていいじゃないんですか」と賛成の意を示し、早速食材の買い出しにスーパーへ向かうことに。

  合宿のカレーにはしゃいで子どもっぽい顔を見せる三人がかわいい。

スーパーに着いた時の侑の第一声が、あの高揚感もありつつちょっとふにゃっとした感じの「ついたー」なのが可愛くて好き。水族館デートの時のアレです。アニメのセルフオマージュ的な。

 

2.

昼公演

買い出しの担当食材......女子チーム:野菜、男子チーム:肉

女子チームと男子チームに分かれ、それぞれ分担して食材を選ぶことに。

野菜担当になった女子チーム三人が野菜コーナーを見て回る中、沙弥香は夏野菜カレーも良いのではと提案する。

「茄子に南瓜にトマト、オクラ、ピーマン...」と候補を挙げていく侑と沙弥香だったが「ピーマン」と声に出した瞬間、燈子が妙な反応をする。

侑がもう一度「ピーマン」と繰り返すと、逡巡したような短い悲鳴のような声を出す燈子。

侑「先輩、まさか...」

燈子「ううっ...」

実は燈子がピーマンを苦手としていたことが明らかに。

「そう言えば燈子のお弁当っていつも甘い玉子焼き、ウィンナー、トマト味のスパゲッティとか入ってるわよね」と沙弥香にも指摘され、その味覚の子供っぽさを侑に突っ込まれて、恥ずかし気に縮こまりながら「味の好き嫌いに大人も子ども関係ないと思うな!」と苦し紛れの抵抗を見せる燈子。

窘めるように「好き嫌いしてると大きくなれないわよ」と諭す沙弥香に「もう大きくなったよ!」と突っ込む燈子の一方、「何でも食べても大きくなれるとは限らないんですよ!!」と突然の不条理に立腹する侑。

「なんであなたが怒るのよ...」と反応に困った沙弥香が折れることで、結局定番通りのカレーにすることに決定した。 

 この三人のやり取り、めちゃくちゃ個気味良い。

ピーマンが苦手なお子様舌な燈子、お前そういうとこやぞ...。侑と燈子のピーマン問答、侑が初めて「燈子先輩」呼びしたシーンのオマージュっぽかった気もする。

というか、1年生の時からまなみども一緒に毎日机くっつけてお昼を食べている沙弥香が燈子のお弁当のおかず事情を知っているのはともかく、その味付けが甘口なところまで知っているのは「お弁当のおかず交換」というイベントが多かれ少なかれ発生していたことの証左になるのでは?めちゃくちゃ見たいな。

 

夜公演

 買い出しの担当食材......女子チーム:肉、男子チーム:野菜

お肉担当になった女子チーム三人。入れるお肉を牛、豚、鶏のどれにするか迷う侑。

「牛も美味しいけれど、鶏の方が安くカロリーも低いのでたくさん食べられるし...」と考えあぐねる侑に向かって「小糸さんって食い意地張って...」と言いかけて言葉を直す沙弥香。

焦る素振りを見せながら、実は辞めた今もソフトボール部時代の食事量が続いていることに悩んでいると口ごもる侑に対して「太ったの?」と沙弥香は遠慮なく直球をど真ん中に投げ込む。

「それでもまだ平均以下ですから!」と必死に主張する侑。

それを見た燈子は「じゃあ後でお風呂の時に確認しなきゃだね!」と何やら一人盛り上がるのだった。

 七海燈子が下心丸出しでウケた。そういうとこやぞ。

しかし実際に一糸まとわぬ姿を前にすると「合宿ってすごい...」になる女なんだが...。

 意外なところで侑の掘り下げがあって嬉しい。ソフト部時代は食トレもやってたのかな。牛か鶏かで決めかねる姿は、侑の「選択することが苦手」という側面の表れでもありますね。

 

 3.

 無事(?)に具材を揃えた各チームが合流したところで、「大事なことを決めなければならない」と切り出した燈子。

一同が集まったのはカレールー売り場。カレーの味を決定づける大事なこと、つまりカレーの辛さである。これを多数決で決めることとなった。

「せーの...」

沙「辛口」燈「甘口!」侑「中辛!」槙「辛口」堂「辛口!」

堂島「...ん?今誰か甘口って言わなかったか?小糸さん?」

侑「私は中辛って言ったよ!」

おかしいなーと訝しむ堂島の詮索を止めんとして「一斉に行ったから誰が言ったかわかんなかったよね~」と燈子が慌てて梃子を入れる。

「そんなことだろうとは思ったけど...」と呆れる沙弥香。

「辛いのが苦手な人がいるならそれに合わせよう」と侑の出した助け船に乗っかって「そ、そうだよね!じゃあ甘口で決定ということで...」と不満げな堂島をよそに強引にその場を流す燈子。

一連の流れを見た槙が「小糸さんも佐伯先輩も、七海先輩にちょっと甘いんじゃないの?」と楽しそうにからかうような口調で耳打ちすると、「な、なんのことかな~?」と口下手に侑は誤魔化すのだった。

七海燈子さん...両脇の女に手を焼かせまくりかよ。

買い出しの帰り道の侑と沙弥香、きっと燈子に聞かれないように「本当に厄介よね」「同感です」って会話をしていたんだろうなと容易に想像できてしまう。

でも堂島しか誤魔化せてないぞ!

堂島は常に一番元気なんだけど常に一番扱いが雑なところに「堂島だな」と笑ってしまう。

 

4.

昼公演

買い出しを終えて学校へ戻ってきた一同。

 買ってきた野菜を刻みながら「無心になりますよね」と会話する侑と燈子。

その横で無言になって真剣な顔つきでじゃがいもの皮を剥く沙弥香だが、その姿勢に反してじゃがいもの量は全然減っていない様子。

侑「遅くないですか...?」

燈子「もしかして沙弥香って...不器用?」

沙弥香「しょ、しょうがないじゃない!家で料理なんてほとんどしないんだから」

家ではお手伝いさんが料理をするからと弁明すると「お嬢様だ~」という反応を貰い、不服そうにする沙弥香。

「あれ、でも佐伯先輩って劇の中でお見舞いに来た時にりんごの皮を剥くシーンがありましたよね?」と思い返した侑が沙弥香の包丁捌きの不慣れっぷりを心配すると、「それは練習して劇までにはできるようになるわよ!」と沙弥香も意地を張り、じゃがいもの皮むきを手伝おうかと言っても「全部一人でやるから!」と譲らない。

燈子「侑、こうなった沙弥香はもう止められないよ...負けず嫌いだからね」

侑「それ、七海先輩にだけは言われたくないと思いますよ...」

むきになった不器用な佐伯沙弥香がただ可愛い。

劇のために難しい顔をしながら毎日りんごの皮むきの練習をする佐伯沙弥香概念、愛おしすぎないか。

 

夜公演

買ってきた玉ねぎを切ることになった一同。

玉ねぎを切ると目に沁みるからとあまり乗り気ではない沙弥香、侑、槙だったが、「こういう時こそメガネの出番、メガネでガードすれば大丈夫」と意気揚々と玉ねぎを高速で刻んでいく堂島。

こなれた手つきで捌いていく堂島の姿に感心する侑たち。

堂島曰く「料理は結構好きで家でもよく作ったりする」とか。

が、勢いよく玉ねぎを刻んでいた堂島の手が突然止まり、宙を見上げる。

堂島「あ、やっぱダメだこれ。鼻から来るわ」(涙声)

結局メガネでは防ぎきれず鼻から攻め込まれて涙ドバドバな堂島。

槙「そう言えば、玉ねぎは予めレンジで温めると辛味成分が抑えられるらしいよ」

堂島「お前...言うの遅くね...?」(涙声)

 堂島、お前料理までできたのか...。隠れハイスペックで株を上げ続ける男。どう考えてもモテないわけがない。その腕で運動部の朱里にスタミナのつくお弁当でも作ってあげてくれ。

 

5.

 鍋が煮えるのを待つ一同。

堂島「煮込み料理って待ち時間が半分以上だよなー」

侑「堂島くんって料理できたんだね」

堂島「まあねー、でも先輩たちがあんまり料理できないってのは意外だったなー。案外俺たちでも先輩らに勝てるものがあるのかもな!」

侑「だねー、じゃあ他にも特技とか趣味とかってない?」

 以降昼夜で分岐

昼公演

 槙「趣味かどうかは分からないけど、僕はサイクリングが好きでよく乗ってるかな。学校にも自転車で通ってるしね。たまに知らない街にフラッと立ち寄ったりするのが楽しいんだけど、知らない場所でも道に迷ったりはしないのは特技かもね」

堂島「良いな~!先輩たちとサイクリング、行きたいな~!そうだ小糸さん、先輩たちにサイクリングに興味がないか聞いてみてよ!」

「自分で訊けばいいじゃん」と面倒くさがりながらも「小糸さんからの方が訊き易いだろ?」と言いくるめられ、他の話題から自然にサイクリングの話題に持っていくようにと仕向けられる侑。

沙弥香「あなたたちさっきから何コソコソ話してるの?」

侑「え、えーと、二日目のカレーってなんであんなに美味しいんだろうなーって」

槙・堂島「(ずいぶん遠いところから始めたけど大丈夫か...)」

沙弥香「ああ、それ私はよく分からないのよね。二日目のカレーってドロドロしててあまり好きじゃなくて。作りたてのカレーの方が美味しいと思うけれど」

燈子「えー?溶けかけのじゃがいもとか私は好きだけどな~」

侑「ま、まあどっちもそれぞれに良いところがありますよね!例えて言うなら、そう、徒歩通学と自転車通学、みたいな?」

苦し紛れの説明をしようとする侑、「何言ってるかよくわからないわ...」と会話の意図をはかりかねる沙弥香、燈子、そして「これはダメだ」と頭を抱えた槙と堂島であった。

 

夜公演

 堂島「俺は釣りが好きだな。釣りのことなら聞かれればある程度答えられるぐらいではある」

以下昼と同様に侑が先輩組に釣りに興味がないか話題を振ることに。

侑「いやー、もうすっかり夏ですよねー。こうも暑いとプールとかで泳ぎたくなりません?」

燈子「いいね~、気持ちよさそう!ふむ、侑と泳ぎに行くということは...つまり侑の水着が見られる...?」

侑「プールも良いですけど、川や海も良いですよね!泳ぐ以外にも色々遊べますし...。水に入らなくても、釣りとかもできますよね!」

燈子「侑の水着...侑の水着...!」

侑「ね、先輩!海で釣りとか!どうですか!」

燈子「海!いいね!絶対夏休みの間に二人で泳ぎに行こうね!ふへへ...侑の水着...」

侑「もう先輩話を聞いてください~!」

完全に上の空な燈子にまたしても振り回されるに終わる侑。

 性欲を包み隠す気がない。七海燈子がフリーダムすぎる。

槙はともかく堂島も聞いてるのにそんなにぶっ飛ばして大丈夫か七海燈子。

たしかこの話の中で沙弥香が昔スイミング習ってた話にも少し触れていたんですけれど、ちょっとここら辺うろ覚えすぎて端折って書いてます。(でもアウトラインはだいたいこんな感じで間違ってないはず)

 

6.

侑「なんか無駄に疲れた気がする...」

鍋もよく煮え、もうじきご飯も炊けるかという頃、沙弥香が弾かれたように大きな声を上げる。

沙弥香「あ!!!!!」

珍しく声を荒げる沙弥香に驚く一同。

沙弥香「大事なものを買い忘れていたわ...」

侑「大事なもの...?他に何かありましたっけ?」

沙弥香「福神漬けよ!!!」

侑・燈子・堂島「......えっ?」

槙「しまった...僕としたことが福神漬けを忘れるなんて...!」

侑「えっ、槙くんそっち側なの!?」「でも福神漬けってそんなに大事ですか?別になかったらなかったでいいですけど...」

沙弥香「あ な た た ち......それ本気で言ってるの!?」(怒髪天)(握りしめた拳)(怒りに震える身体)

堂島「えー!?先輩の怒りスイッチそこなんすか!?」

カレーに福神漬けが入っていないとブチ切れてくる佐伯沙弥香概念、面白すぎて無理。

呆れるとかじゃなくて本気で怒りに震えてるのがヤバい。

さっき牛肉か鶏肉かで迷ってる後輩に「食い意地張ってる」とか言ってましたけど自分の方がよっぽどじゃありません??しかもこの女、後輩のポテトを勝手に食う。

そしてお弁当には絶対に玉子焼きを入れたい。そのこだわりは何なんだ佐伯沙弥香。

次のスピンオフの内容が「佐伯沙弥香 昼メシの流儀」だったらどうするんだよ。

まあそういうところも全部ひっくるめて、自分の価値観に誠実で正直なところが好きなんだけど。

 

侑「まあ福神漬けならコンビニにも売ってるでしょうし...。」

「はーい、一年生集合ー。買い行く人決めるよー」と渋る堂島と槙を集めてじゃんけんでお使い役を決める侑。

侑「じゃーんけーんぽん」

結果、槙と堂島はチョキを出し、パーを出した侑が一人負けする形に。

槙は若干の申し訳なさを覚えながらも、侑はお使い役を頼まれることをあっさり受け入れる。

その光景に強い恐怖を感じた燈子は「あっ......」と憂苦の声を漏らす。

侑「じゃあ、行ってきまーす」

燈子「待って、侑......」

不安の色を浮かべる燈子の声は掠れて届かない。

・・・

侑「えーっと、コンビニはっと...」

燈子「侑ー!!待って!!」

侑の後を走って追いかけてくる燈子。

侑「えっ...七海先輩!?」

燈子「待って...私も一緒に行く」

侑「いいですけど、どうしたんですか」

燈子「だって...もう暗くなってきたし、一人で出歩くのは危ないと思って」

侑「もう子どもじゃないんですから、大丈夫ですよ」

燈子「ダメ!!」

燈子は悲痛な声を上げて俯く。

 

侑「......」

燈子「ねえ、侑。手、繋いでもいい...?」

侑「え~......?部活帰りの人が通るかもしれないですし、見られたら困りませんか?」

燈子「だって、侑がどこかに行っちゃいそうで」

侑「どこにも行きませんってば」

燈子「......昔」

燈子「そうやって大切な人が出かけたまま、二度と帰ってこなかったことがあるから......」

侑「......それは」

少しの逡巡の後、踏み込む侑。

侑「お姉さん......ですか?」

俯いたまま口を噤む燈子。

侑「......仕方ないなあ。先輩、手、出してください」

燈子「侑......」

そうして燈子の声色に少しの安堵が戻った時、どちらからともなく「クゥ~ッ」というお腹の鳴る音が二人の間に響く。

侑・燈子「......あは」「あはは」「あはははは......」

一通り笑い合った二人は、次第に落ち着きを取り戻してゆく。

侑「なんだかお腹空いちゃいましたね」

燈子「ねえ侑、夕飯の予算ってあとどれくらい残ってる?」

侑「えーと、500円ぐらいは残ってると思います」

燈子「じゃあさ、それでコンビニでおやつ買っちゃわない?もちろん、みんなには内緒でね?」

侑「わるいせいとかいちょうだー」

燈子「いやいやぁ、これはお使いの正当な報酬です!」 

侑「ふふっ......二人だけの秘密、ですね」

燈子「うん!」

 

燈子「侑、大好き!」

END

 

この最後のパートまでずっとコメディだったのに、いきなり背後から鈍器でフルパワー殴打するような真似をしないで欲しい!

ささつ2のじゃんけんの下りにウンウン唸って床を這いずり回る日々を未だに送っている人間の気持ちを考えて欲しい!!

朗読劇、素晴らしかったです……。ありがとうございました。

 

この手のアニメ作品のイベントでは(ライブコーナーを除けば)どういう企画をやってくれたら一番嬉しいかと言うと、やっぱり朗読劇なんですよね。個人的にはですけど。

その本質は「リアルタイムで再構築される作品をその当事者として直接体験する」ということであって、それはイベントという媒体でしか実現され得ません。

なので朗読劇、ライブコーナーというのは参加者にとって最も希少価値の高い体験だと思っています。

それを原作者である仲谷先生が脚本を新規に書き下ろしてくださったとなれば、もう本当にこの上なく有意義だった。

欲を言えばあの朗読劇の複製台本が欲しすぎる。良い値で買わさせてくれ...。

 

 

 

 

 

これは余談ですが、劇といえば夜公演の「やがて○○の話になる」コーナーで高田憂希ちゃんと寿美菜子さんが突然本編を再現する即興劇を始めた時は本当にヤバかったですね。「ヤバイ」と大声で叫びそうになる心を押し留めるのに大変な苦労をしましたが、自分の右の方からは「ヒュッ」っと見知らぬオタクの息が止まる音が聞こえてきたのも面白かったです。

あとhectopascalの話もしたい...。また別で書くか。