紅茶の零しどころ

オタクが気まぐれで書いてる

早稲田プリパラトークショーメモ

メモと言っても実際メモも取ってなかったので、自分が面白いと感じたお話を覚えている範囲で書いておきます。

 

ゲストに茜屋日海夏さん、大森日雅さんに加え、プリティーシリーズで音響監督を務められている長崎行男さんが来るトークイベントということで、プリパラをはじめシリーズの色んな収録裏話とか聞けそうだな~と思って行ってみたらそれはまあめっちゃ面白かった~というお話です。

 

 

 

茜屋+i☆Risキャスティング裏話

プリリズRLのEDでi☆Risが§Rainbow歌ってた頃「そろそろ芹澤以外もアニメに慣れさせないとね~」ということで、茜屋が初めて声優にチャレンジしたのがプリリズRL29話「私はべる!店長にな~る」のモブ役。

なんだけれども、当時の茜屋はドがつくほどに演技が下手で、長崎氏に「そんな下手なことある??」と思わさせる程だったらしい。

この時に何度も何度もリテイクを喰らったのが茜屋のトラウマになり、最初は長崎氏に対してたいそう恐怖していたとかなんとか。

 

そんな茜屋だったのだが、時を経てプリパラでらぁら役のオーディションに挑んだ時には当初とはまるで別人のような力強いオーラがあったらしく、それはもう「私をらぁらにしないと〇すぞ」ぐらいの気迫だったという。

長崎氏曰く、人生で音響監督としてオーディションしてきた中で「こいつをこのキャラにしないと〇される」とまで思わせたのは茜屋を含めた3人のみで、その一人は「ガッチャマンクラウズ」の村瀬歩、もう一人は「宝石の国」の黒沢ともよだったそうだ。

茜屋自身も「最初かららぁらしか考えてなかった」と語っており、その気迫を認めた長崎氏をはじめ、森脇監督らの制作陣をも納得させて茜屋がらぁら役に見事決まったという経緯だった。

 

プリパラのソラミドレシにi☆Ris6人をどう配役するかの協議において、らぁらのキャスティングは上のとおり全会一致で決まったものの残りのキャスティングでは長崎氏と森脇監督とでかなり意見がぶつかったらしく、それも結局森脇監督に押し負けて今の形になったという。

芹澤を除くi☆Ris全員がオーディションを全キャラ一通り受けた上での協議だったのだが、特に森脇監督の押しがヤバかったらしいのが、長崎氏は

「一番低い声が出せるのは久保田だからシオン役は久保田が適してるよ」

と論理的にキャスティングしようとしたのに対し、森脇監督は

「久保田の『ぷしゅ~』が最高だったから絶対にそふぃ役は久保田!!なんなら『ぷしゅ~』しか喋らなくていいしそれで問題ない」

と主張。結果、誰も森脇監督を説得できず逆らえないままにああいう形になったという。

森脇監督のキャスティングエピ、ぶっ飛んでて面白すぎる。

ちなみに芹澤が例外だったのは、プリリズRLであんを演じた経験があるから...というのもあるのだが、そもそも芹澤はプリパラのオーディションの日に体調崩して現場に来れなかったらしい。茜屋と長崎氏に笑われていた。芹澤...。

 

長崎氏曰く、「森脇監督は自分のような理論で語る人間ではなく、全てを直感で動くタイプの本当の天才」。

理屈では絶対に森脇監督は説き伏せられないと言っていた。

氏は「あの人に逆らったら〇されるんだよねw」などと笑いながら語っていたが、茜屋のことといいもしかしたら「逆らったら〇される」ようなシチュエーションに燃えるタイプの人なのかもしれない。

 

でもというか、だからこそそんな森脇監督を説得して見事らぁら役を掴みとった茜屋日海夏の熱意は本物だったんだと改めて感じられたことが、自分が好きになった作品があの場でもっと根の部分から肯定された気がしてなんだか嬉しくなってしまった。

 

 

 

 大森日雅キャスティング裏話

音響監督の長崎氏と日雅の初対面はプリパラではなく、「魔法少女なんでもういいですから。(まほいい)」の時。

この時の日雅のSキャラの演技の上手さに目をつけた長崎氏がプリパラでちり役のキャスティングを考えた際に「これはもう日雅しかいない」と思い立ち、直々に制作陣にプレゼンして了承を得た後にオファーし、そのまま日雅に決まったと言う。

その決め手となった日雅のSキャラ演技の魅力というのが、

「Sキャラだが、お姉さんというわけではなくあくまで”少女”でありながら、恫喝的でなしに嫌味がなく、なおかつ気品を出せる演技」

というもので、これがちり役に求められる演技とベストマッチして直々に指名することになったそうだ。

トークショーでも「日雅は最初から良かった」と終始褒めちぎっていた長崎氏に「私と対応が違いすぎる」と茜屋が嘆いてる姿はちょっと面白かった。二人に挟まれて萎縮しながら照れている日雅は可愛かった。

 

 

長崎行男が語る茜屋日海夏

そんなこんなで見事らぁら役を射止めた茜屋だったが、最初はとにかく声が小さかった。

らぁらは声がデカいという設定があるのに反して当の茜屋があまりにも声が出ないもので、長崎氏の方から「らぁらの声がデカイ設定やめてくれ」と森脇監督に相談したのだが、ここで森脇監督は断固として拒否。

ここでも「逆らうと森脇に〇される」状況に陥いり観念した長崎氏は、とにかく大きな声が出せるように茜屋の指導を開始。

 その甲斐あって無事に茜屋は今の声量を手に入れるのだが、逆に茜屋は他のキャラを演じる時でもデフォでデカい声になってしまったといい、ヒロインを務めることになった作品「Dance with Devils」の時にはそこでも音響監督をしていた長崎氏に今度は逆に「声がデカすぎる」と言われてしまったらしい。コントか。

 

 

変な話ばかり出てくる茜屋だが長崎氏曰くプリパラでの茜屋の演技の素晴らしいところは "コメディの演技” に表れるという。

 長崎氏は「『セリフのオウム返し』がコメディの基本であり、また、キャラ同士のセリフとは必ず対話でなければならない」と言う。

セリフは声優がただ台本を読むだけであってはならず、声優がそのキャラクターになりきり、その世界に入り込み、相手との自然な対話を為すことが求められている。

コメディにおけるオウム返しとは、たとえば

 

A「昨日の晩ご飯ハンバーグだった~」

B「え、ハンバーグ!?」

 

 みたいな短絡的な会話のやり取りのことなのだが、長崎氏はこのBの声優に内緒で、Aの声優に「ハンバーグ」を「目玉焼き」にアドリブで変えて貰ったりすることがあるのだと言う。

この時にBの声優が台本にないアドリブにオウム返しで自然に対応できるかどうかを見ることで、その声優が本当にそのキャラクターと同化して「対話」に参加することが出来ているのかを見ているというわけだ。

 

恐ろしいことに実際アイドルタイムプリパラでそういうシーンがあった。↓

 長崎氏は茜屋のこの演技について、「これが出来るのはやっぱり茜屋が本当にらぁらになりきれている証拠だね」と称賛されていた。

コメディにおいて、キャラクターになりきり、自然にそのキャラクターとして対話に参加することが出来るスキル。声優としての茜屋は非常にそれに長けているのだという。

 

思い返してみれば3rdシーズン128話の、

みれぃ「ホッケぷりね!」

らぁら「ホッケ ホッケ!」

とか、あとは何かすぐには思い出せないけれど、らぁらのオウム返しってなんか面白かったよな~っていうのはいっぱいあって、この話を聴いて自分の中で何かもの凄い合点がいったし、これを聴けただけでもこのイベントに来た甲斐があったと思ってしまった。

他のキャラクターのセリフに対して「〇〇って?」とらぁらが訊く所から始まるギャグシーンとかも思い返せばたくさんあって、確かにプリパラを視聴する上で「オウム返し」というのはかなり基本的な会話構造だったんだな~とお家に帰った今なお改めて感心しています。

ちなみに私立パプリカ学園校則第222条は「なんでもかんでもオウム返しに尋ねてはならない」だったりする。

 

同じようなスキルを現在プリチャンで主役を務める林鼓子もまた持っているのだとか。

ある意味伝統というか、それが主人公に求められるものというか、受け継がれる意思というか。

 

 

他、雑多に

プリパラを見たことのある人はみんな分かるだろうけど、プリパラのガヤは制作陣も演者も自分らで笑っちゃうほど汚い。

茜屋曰く、プリパラ収録現場があまりにも異質すぎるせいで他の現場でのガヤの収録が普段のプリパラの雰囲気とまるで違ってやりにくいらしい。

茜屋はガヤの収録では必ず誰か他の人と会話する感じのスタイルを取っているらしいのだが、長崎氏曰く「ガヤもまた、自然でリアルな雰囲気を出すためには自然な対話であるべきで、茜屋のスタイルは正しい」と笑顔で評価していた。おめでとう茜屋。

ちなみにプリパラ現場でも圧倒的にガヤが汚いのは若井友希ちゃんらしい。茜屋も長崎氏も口を揃えて「格が違う」と言ってて笑ってしまった。

その更に上を行くのが佐〇綾音だとかなんとか...。

 

追記:

音響監督である長崎氏は、子ども向けアニメを制作する際には「子どもたちには綺麗な日本語を使ってほしい」

との思いの下、作中ではなるべく綺麗な日本語を使用するように注意しているそうだが(正しいイントネーション、汚い言葉やら抜き言葉を避ける等)、ガヤは汚いし内容もやりたい放題にやり散らかすプリパラに関しては

「プリパラはもうキリがないし、しゃーねーかって放ってる」と笑い飛ばす始末。

 

 長崎「プリパラって狂気じゃないですか。ずっとあの狂気が続いてるとこっちもだんだん耐性ができて慣れてくるというか。その狂気がピークだったのは3rdシーズンだったと思うんですよ。3rdシーズンって空から落ちてくるやつだっけ?」

茜屋「空から落ちてくるやつです」

 長崎「3rdシーズンのプリパラを超える狂気はそうそうないと思う」

 

森脇監督がフィーリングで描く世界観に誰も理屈で逆らえないがためにそういうこと(狂気)になったのだと思うが、結果的にそれが噛み合って人々に愛されるプリパラになったのだから「森脇監督は本当に天才なんだな...」とここでもまた思い知らされるはめになるという。

 

長崎氏に散々しごかれたであろう茜屋だが、プリリズ時代の芹澤もなかなか酷かったらしく、収録ではもう毎週の様に泣いてたとか。

何度もリテイクを喰らって泣いては、おとは役の後藤沙緒里さんの後ろに隠れて後藤沙緒里さんに「まあまあ」となだめられる流れがいつものことだったと笑いながら長崎氏は語っていた。芹澤...。

 

そして若井と芹澤は致命的に漢字に弱く、プリパラの収録前はいつも二人のためのお勉強会が開かれていたとか。

長崎「あれネタでやってんの?」

茜屋「いや、彼女らなりの本気なんですよ、たぶん...」

と言われる始末。芹澤...。(n回目)

 

 

質問コーナーの後に演技実践コーナーがあって、茜屋と日雅が少女声に挑戦ということになったのだけれども、これがどうしても大人な部分が声に出てしまう2人。

苦戦して「色気を出さないって難しいね~」という話になった長崎氏は「田中美海が圧倒的にガキの声が上手い」と言及。言い方。

そういえば今季もゾンビランドでガキのゾンビやってた。

追記︰

確かこれは茜屋と日雅がお互いに演じるキャラのモノマネをしようとなった時にらぁらもちりも小学生の少女なのに演技のどこかしらに色気が出てしまうことに対しての長崎氏のコメントだった気がする。

 

 

そして今回のイベントで一番聞いて「ヤべ~~ッ」と思った話が、長崎氏から語られた2ndシーズンのあじみ先生役のキャスティング裏話。

あじみ先生のオーデイションを行っている頃、制作陣は3rdシーズンのジュリィ役のオーデイションも並行して行っていたそう。

そのジュリィ役のオーデイションでスタジオに来ていた上田麗奈あじみ先生役のオーデイション台本を、"たまたま"、"勝手に"、読んだところ、何か彼女の琴線に触れたのか「私この役もやりたい!」と決意。

後日、上田麗奈からアポなしで頼んでもないのに勝手にオーデイション用のテープが送られて来る。制作陣が戸惑いながらそのテープを聴いてみたところご存知あの怪演がカチコんで来て、その場の全員が上田麗奈に見事に敗北する形でこの予想外のキャスティングとなったそうだ。

上田麗奈さん、つくづく天才だとは思ってたけどそこまでぶっ飛んでると思ってなかった。勝てない。

 

 

 

こんな感じでイベントに行って「有意義な情報だ~」と思ったことを覚えている限りで書いておきました。

演技コーナーではお題に沿って長崎氏がディレクションした役を二人が演じる、とか自分が演じていないプリパラキャラのモノマネをやってみてそれを長崎氏に評価してもらう、だとか面白いコーナーも他にもあったんですけれど、それを文面に起こすのはしんどいのでイベントに行っていたオタクの特権ということで割愛します。

音響監督の方にこうして直々に語ってもらえる機会なんてほとんど無いですし、だからこそそこでしか聞けないような裏話もたくさんあって、声優のオタクとしてもコンテンツのオタクとしても満足に楽しめて「行って良かったな~」と心から思えるイベントでした。

こういう時にしか出来ない内容という点で学祭イベントとしてもとても良い企画だったと思います。

森脇監督とか菱田監督とかの話も聴きた過ぎるので誰かまたイベント企画お願いします。待ってます。